「2021年には住宅を購入したい!」
「でも住宅ローン控除はどうなるんだろう…」
住宅の購入は安い買い物ではありませんから、どうせ購入するならお得に購入したいですよね。
そこで注目したいのは「住宅ローン控除制度」。今までなら逆ザヤが得られる、いわゆる「儲かる住宅ローン」で恩恵を受けていた方も数多くおられます。
今後の税金の流れに大きな影響を与える「税制改正大綱」が、2020年12月10日に閣議決定され発表されました。この中で2021年の住宅ローン控除制度の改正についても含まれているのです。
最終的な制度の可決については、2021年3月の国会で決定することになりますが、通常ではこの税制改正大綱をもとに可決されることになるために、この内容を理解しておくことはとても大切です。
では2021年の住宅ローン控除制度はどのように改正される予定なのか、今まで「儲かる住宅ローン」と呼ばれていたものはどうなるのか、しっかりとお伝えしていきたいと思います。
まず、住宅ローン控除の行方そのものですが、住宅ローン控除制度は税制改正大綱の中では、20201年度においても住宅の購入を促進させるために、継続して取り組まれる予定になっています。
上記の通り、13年間となっている控除期間の特例措置を、2022年末まで延長することが示されています。
そもそも、住宅ローン控除の期間は10年と定められているのですが、消費税が10%に増額されるのにあわせて13年となりました。
この特例措置の期間は、2019年10月から2020年12月末日となっていたのですが、2022年末まで2年間の延長が示されているわけです。
ただし、新築を購入する場合には、2022年9月末までに契約したものに限定している点に注意が必要です。
中古やマンションについても、2022年11月30日までに契約しておく必要がありますので、検討している方は早めに行動したほうが良いでしょう。
気になる「1%控除」の見直しについては、2022年からになる予定になっており、2021年については適用にはならないことが示されています。
内容については次の章で詳しくお伝えしますが、来年も引き続き「儲かる住宅ローン」を受けることができる予定となっています。
また、2022年に新しい制度が適用されたとしても、過去に遡って適用されることはありません。
そのため、いま住宅ローン控除を受けておけば、お得に住宅を購入できますから、早めに行動することをおすすめします。
住宅ローン控除制度は税制改正大綱の中で内容について見直される予定になっていて、大きく2つのポイントにまとめることができます。
特に重要になるのが、「①「1%控除」の見直しについて」になります。
現状では、1%が控除対象となるために、住宅ローンが1%未満の場合であれば逆ザヤを得られることができ、「儲かる住宅ローン」と呼ばれることもあり注目されてきました。
この部分はどのように変更されるのか、いつから変更されるのか、しっかりとお伝えしていきます。
住宅ローン控除において、借入残高の1%を控除するという現行の制度については、「上限40万円または支払い利息総額の少ない方を所得税住民税から直接減税する」という形が示されています。
ただし、この導入については2022年度に見直しということになっており、2021年は現行の住宅ローン控除が適用となります。
つまり2021年も引き続き、「儲かる住宅ローン」を受けられることになります。
ただし、2021年内に購入しておく必要がありますのので、早めに行動しておくことをおすすめします。
現状の住宅ローン控除制度は、「借入残高の1%(上限40万円)」が所得税・住民税から控除される仕組みになっています。
しかし現在の銀行の住宅ローン変動金利をみていると0.5%程度で利用できるものが多く、ネット銀行であればそれよりもさらに低いものも見つけることができます。
仮に金利0.5%で借入すると、住宅ローン控除を受ける場合に1%が所得税・住民税から控除されますので0.5%が儲かる仕組みになっているのです。
そのため現金一括で購入できるような方でも、金利1%未満で住宅ローンを利用し、住宅ローン控除を受けているのです。
そして、住宅ローン控除を受けられる13年を超えた時期に、一気に繰り上げ返済すれば、住宅ローンの金利負担を極めて少なくでき、しかも逆ザヤも得られることになります。
4000万円を変動金利0.5%、35年ローンで借入を行ったとします。
この場合、毎月の返済額は元利均等の場合であれば10.3万円となります。
1年目の返済額は1,246,008円となり、元金1,048,414円、利息197,594円となっています。
この状況で住宅ローン控除を受けた場合、残金の1%分が所得税・住民税から控除されることになりますので、389,500円の控除を受けることができます。
つまり利息として197,594円しか支払っていないにもかかわらず、住宅ローン控除として389,500円が控除されることになり、0.5%分が儲けとなり191,906円が逆ザヤとなるのです。
このような状態が、現時点では13年間、受け続けることができるのですから、かなりお得な制度であると言えるでしょう。
わざと住宅ローンを利用する人が増えている理由も理解できるのではないでしょうか。
現在の住宅ローン金利は、1%を下回っている金融機関がほとんどであり、平成29年に住宅ローン控除の適用を受けた人の中では、金利1%未満の割合が78.1%であると言われています。
つまり大多数が住宅ローン控除によって逆ザヤを得ている状態であって、住宅ローンによって儲けていることになります。
そもそも住宅ローン控除が始められた趣旨は、金利が5%程度の時代で、金利を少しでも低くして、経済を安定させるという意味がありました。
しかし、現状においては、逆ザヤを得られる状態でありますから、借りる必要がないのにもかかわらず住宅ローンを利用しているケースが多いのです。
サラリーマンであれば、年末になると源泉徴収票を受け取る方が多いと思います。
それまでに保険会社の証明書などを揃えて、会社の経理担当に必要な書面を提出しているのではないでしょうか。
毎年行われるものですから、扶養控除や社会保険控除などによって税金の額が変わっていることは理解できるものの、「控除」というものがそもそもどういうものなのか分かりにくいという方もおられるでしょう。
奥さまのパート収入が一定額を超えないように、出勤日などを調整しているという方は多いはずです。
この源泉徴収において控除される、扶養控除や社会保険控除というものは、「所得控除」とよばれるものです。
それに対して、住宅ローン控除は所得控除ではなく、「税額控除」と呼ばれるもので、扶養控除や社会保険控除などとはまったく異なる控除となっています。
少し事例を用いてご説明していきましょう。
600万円の所得の方が、奥さまの扶養控除が38万円、社会保険控除が90万円である場合、課税所得は472万円となります。
この課税所得に対する所得税額は、51万6,500円となります。
つまり、所得控除である扶養控除や社会保険控除は、所得から控除されるものですから、実際の税額への影響は、扶養控除38万円でも税額への影響は7万円程度になってしまいます。
しかし、税額控除である住宅ローン控除は、税額から直接控除することになりますから、税額負担にダイレクトに影響を与えることになります。
仮に先ほどの事例において、住宅ローン控除が20万円となった場合には、先程の所得税額51万6,500円から直接20万円を控除することになります。要するに約50万円の税金が20万円減って約30万円になるのですからコレは大きいですよね!
サラリーマンの場合、所得税は1年間をかけて支払い続けていますので、年末調整をしたのちに還付されることになります。
そのため、臨時ボーナスのように住宅ローン控除を受けることができるのです。
大きな影響力があることが理解できたのではないでしょうか。
今回の税制改正大綱において、住宅ローン控除の適用に関する目玉として「床面積の要件緩和」が含まれています。
現在の住宅ローン控除の適用については、床面積50㎡以上である必要があります。
この適用によって、マンションを購入する場合に、ギリギリ適用除外になってしまうというケースが多く存在しました。都心部でマンションの購入を検討されてきた方の中には、床面積が50㎡であるために購入を諦めたという方も少なくありませんでした。床面積の要件緩和によって40㎡から適用可能になった場合、適用対象が大きく広がることが分かります。
例えば、今までなら適用が難しかった1DKの物件でも住宅ローン控除を受けながら購入できるようになるでしょう。
ただし、40㎡から50㎡の物件については、合計所得が1000万円を超えた年には適用となりませんから注意が必要です。50㎡以上の物件で住宅ローン控除を受けるための合計所得は3000万円以下となっていますので、所得制限が厳しくなるのがお分かりになるでしょう。
「税制改正大綱」で示された、住宅ローン控除関係の内容を詳しくお伝えしてきました。
新型コロナウイルスの影響もあり、社会全体の負担を軽減する目的で、住宅ローン控除も延長予定となっています。
現行の「1%控除」については、逆ザヤが得られる状況にあるため、この部分は上限額や金利などとも調整して受けられる制度に変更される予定です。
ただし、2022年からの予定となっており、2021年には引き続き現行の1%控除を受けることができますので、お得に住宅を購入することができます。過去への適用もありませんので、いま受けておくことがおすすめです。
床面積については、所得制限があるものの40㎡から適用を受けることができます。このような流れから2021年では、駆け込み需要が増えることが想定できます。また、単身者や二人暮らし用の1LDKの需要も増えていくでしょう。現在、マイホーム購入を検討されている方でしたら、早く行動しておくようにしましょう。
※尚、本稿の内容は2021年1月時点のものとなります。予めご了承下さい。